ランベルマイユコーヒー店
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ランベルマイユコーヒー店

¥2,420 税込

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オクノ修・詩/nakaban・絵 判型:B5判変形並製 頁数:32ページ 装丁:横須賀拓 発刊:2019年7月20日 ISBN:978-4-909394-23-1 C0795 コーヒーとともに日々を刻む、すべての人たちへ。 京都の老舗喫茶店「六曜社」のマスター、オクノ修の名曲に触発され、画家のnakabanが10年以上温め続けた作品、ついに完成。 ◎ご予約いただいた方は送料無料でお届けします。 ◎ミシマ社特製「ちいさいミシマ社」シールを同封します。 ●nakabanさんより、本書に寄せて。 オクノさんと「ランベルマイユコーヒー店」のこと 今からもう20年近く前だろうか。僕が絵を描くことを仕事にしようと思い始めたころ、世の中はカフェブームだった。たんに美味しいコーヒーの時間を愉しむということだけでなく、カフェ店主の人物像にも関心が持たれ始めていた。 京都の六曜社でコーヒーをドリップするオクノ修さんは、そんなカフェブームを牽引する多くの若きコーヒー店主から尊敬されていたひとだった。コーヒー豆をひとり小屋で焙煎し、そして六曜社のカウンターに立ちドリップする。そんな静かな毎日の中で職人として在るひととして。もちろんそのような巷のカフェブームなどというものからも一歩距離を置いて。 今でこそ、静けさのかたわらで職人的な仕事に従く若いひとも多いと思うけれど、そのころ、そのような世界を夢見るひとにとってのお手本になるひとはとても少なかったと思う。何かの雑誌でオクノさんのことを知った僕は、自分の目指す絵の仕事もそのようにできたらいいのに、と強く憧れた。美術の世界ではなく他の分野にそのような「先輩」がいるということに気づいて嬉しくもあった。 オクノさんはシンガーソングライターでもある。僕は音楽が好きで、その頃からとくに好きだった「オフノート」という音楽レーベルを主宰する神谷一義さんに会いに行ったとき(当時、僕は尊敬するひとに勇気をふりしぼって会いにいっていた)、神谷さんはオクノさんの歌の素晴らしさをとつとつと語っておられた。そして別れしなに「オフノート」から発売されているオクノさんのCDをいただいた。聴いてみるとギターと歌のみのシンプルなアルバムだった。オクノさんははっきりと歌うので「詩」が耳からすっと入ってくる。仕事や日常での哲学的な気づき、恋愛や寂しさのこと、アイルランドの歌。けれどもそれらの歌はけして重くなく、あえてこう表現するけれども、とても洒脱に響いていて、それはもう、はっきりとオクノさんというひとにしかできない音楽なのだった。 コーヒーのことを直接歌った歌は意外にも少ない。それを簡単に歌にしないことでオクノさんはどこかコーヒーの秘密を守っているようなところがあるように思ってしまう。そんな中、「ランベルマイユコーヒー店」は、オクノさんの数少ないコーヒーの歌だ。ランベルマイユというオクノさんの心の中の街の、コーヒーの香る朝の風景を歌っている。短いけれどその歌はとても印象深くて、その街もそのコーヒー店もどこかに本当に存在しているように思えてしまう。そう思うのは僕だけではないらしく、オクノさんを知る誰もがその歌について語るとき、ほんの少し夢見がちな遠い目になるのだった。うまく言えないけれど、「そういうこと」ってすごくいいなと思う。そしてこの世界には「そういうこと」が少し足りないなとも思う。オクノさんのコンサートの会場に行くといらっしゃる神谷さん、今回この本のデザインをしてくださった横須賀拓さん(オクノさんの深い理解者でもある)、そしてオクノさんご本人に言い続けた。「あの歌を絵本にしたいです」。 長い人生のうちで一日の始まりがつらい日も多い。でも一杯のコーヒーのその香りに包まれているうちに、いつの間にかそのつらさから救われてしまっている、ということはないだろうか。僕にはある。それに、どこかで同じようにコーヒーをすすっているひとがいると想像すれば、不思議と呼吸は深くゆっくりになる。きっとこの歌は、そのようなことを歌っている。オクノさんは謙遜するに決まっているけれど、世界中のかけがえのない朝に贈る、これはとても大切な歌なのだ。 絵本版の「ランベルマイユコーヒー店」はそのようなことを思いながら制作しました。 だれかの朝からだれかの朝への贈り物になったら嬉しいです。 2019年6月 nakaban ●著者情報 オクノ修 1952年京都生まれ。シンガーソングライターであり、京都の老舗喫茶店「六曜社」のマスター。 nakaban(なかばん) 1974年生まれ。画家。広島市在住。絵画を中心にイラストレーション、文章、絵本、映像作品を発表している。新潮社『とんぼの本』や本屋『Title』のロゴマークを制作。著書に『よるのむこう』(白泉社)、『ぼくとたいようのふね』(ビーエル出版)、『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)ほか。珈琲片手の時間が大好きである。