工藤保則(著)
定価:1800円(税別)
判型:四六判並製
頁数:240ページ(予定)
装丁:尾原史和(BOOTLEG)
発刊:2021年3月19日予定
ISBN:978-4-909394-49-1 C0095
◎内容
理想や正解にしばられない、育児のはなし
職業、大学教員。専門は社会学。45歳で結婚し、46歳で父になった。自分たちなりの家族の健やかさを探りつづけた7年間。一人の男性がだんだんと父になるまでの、試行錯誤と喜びに満ちたエッセイ集。
妻は会社員。共働き夫婦として、無理をしない子育てを試行錯誤中/どちらの親とも離れた場所に暮らす/車の免許は持っていない。実家への帰省は高速バスで/2020年コロナ禍に、息子は小学1 年生になった……描かれているのは、この時代の、とある育児の風景。
他の人から見たらなんでもないことこそが、
個々の人生でいちばん大切なこと。
とにかく観察と記録のあり方がすごいです。
――吉本ばなな
●本書より
◎これまでの生活が一変した…
「変わったこと」をあげればきりがない。あらゆることにおいてそれまでの自分のペースはことごとく崩され、子どもの生理や生活を基にしたものに切りかえられた。けれども、それは決して不本意なことや嫌なことではなく、人生半ばを過ぎたところで思いがけず遭遇した、生活に新鮮なリズムとテンポをあたえてくれるうれしい転機だった。(まえがきより)
◎妊娠がわかったとき…
この上なくうれしい気持ちである自分と、必ずしもそうではなさそうな妻。妻がなぜ喜びに満ちていないのかよくわからないままでいた。(第一章より)
◎妻がつわりのとき…
もともと体力のない妻は、つわりでその少ない体力も奪われ、体重も落ちた。やつれて顔はひとまわり小さくなった。あたりまえだが、私のからだには何の変化も起こっていない。苦しみを負担しようにも、私は全くの無力だった。(第一章より)
◎子どもの歯磨き…
子どもの歯を気にかける。子どもが嫌がっても歯をみがく――とるにたらない日常のひとコマだ。歯みがきにかぎらず、私たちはこのような些細なことを、日々、無数に繰り返している。そうしていくうちに、しらずしらず、子どものあしらい方が板についてくる。私たちは劇的に親になるのではない。こまごましたルーティンの営みと小さな努力の積み重ねによって、 だんだんと親になっていく。(第三章より)
◎目次
まえがき
第一章 まだ父になっていなかった
妊娠/変化/誕生/ケア
第二章 父になっていく
無理/料理/失敗/物語/遊び/ふく/洗濯
第三章 生活というドラマ
病気/甘物/正月/讃歌/成功
第四章 社会とつながりなおす
帰省/迷惑/礼所/公共
第五章 「家」や「血」をこえて
時間/別れ/先祖/法事/有名
第六章 兄になったじゅん
宝物/距離/生活
あとがき
◎著者プロフィール
工藤保則(くどう・やすのり)
1967 年、徳島県生まれ。龍谷大学教授。専門は文化社会学。著書に『中高生の社会化とネットワーク』(ミネルヴァ書房)、『カワイイ社会・学』(第25回橋本峰雄賞、関西学院大学出版会)、共編著に『無印都市の社会学』(法律文化社)、『〈オトコの育児〉の社会学』(ミネルヴァ書房)などがある。現在、7歳の息子と2 歳の娘の子育てまっただ中。